ホームレス資料センター

特定非営利活動法人 ホームレス資料センター

〒171-0021 東京都豊島区西池袋5-26-16 CHIBAビル402
TEL・FAX 03-6905-8656
居住支援

〈ときわハウス〉の取り組みを終えるにあたって

ときわハウスは2016年3月末に閉寮しました。
以下が「ともに安心の場所をつくるNo.2 ときわハウス報告書
パーソナルサポート付ステップアップシェルター事業」に掲載した閉寮のご挨拶です。

tokiwahouse201603
画像をクリックすると全文が開きます

〈ときわハウス〉の取り組みを終えるにあたって

運営委員会委員長 山路憲夫(白梅学園大学教授)
.

安定した住まいを持てない都内に暮らす不安定居住者、野宿者を対象にした〈ときわハウス〉事業を2014年10月からスタートさせてから、この3月でとりあえず幕を閉じることになりました。
役割を終えたからではありません。むしろさまざまな課題がより浮き彫りになり、個別支援ができるこうした中間支援施設の役割を今後どう担っていくのか。
それをここらへんでいったん立ち止まって、仕切り直しで考えていこうという意味の小休止です。

格差が広がっています。戦後70年余りの間に、自立困難な人々を支える法律、制度は確かに整備されてはきました。
しかし、それだけでは支えきれない制度の谷間にある人々、例えば、今回の私たちの〈ときわハウス〉事業の対象としたさまざまな障害を抱え、安定した住まいを持てない人々は逆に増えているのではないか。
この取り組みの中で、そんな思いがあります。

〈ときわハウス〉のステップアップ事業とは、共同居住仕様のアパートを借上げ、安定した住まいを持つことのできない人に無料で一定期間提供し、その間に入居者が地域で安定した生活が送れるようパーソナルサポーターが本人とともにステップアップ計画を作成。
このステップアップ計画に基づいて、パーソナルサポーターおよび相談員は、関係機関への同行、社会資源の紹介などを行い、入居者に安定した住まいへの移行を果たしてもらうことを目的としたものです。
住まいを提供するだけでなく、パーソナルサポーターがつくことにより次の仕事や住まいを見つけるための生活支援をしたのが、この事業の大きな特徴です。

部屋の賃貸契約とともに、ステップアップ計画を本人とともに作成し、この計画をもとにハウスでの生活を送ってもらう。
世話役的な管理人およびソーシャルワークにあたるパーソナルサポーターを配置。
都内のホームレス支援団体で支援経験のある精神保健福祉士が週5日常駐し、アシスタントパーソナルサポーターも週4回派遣しました。

この一年半での〈ときわハウス〉の利用者は時期によってばらつきもありましたが、ほぼコンスタントに5人の利用者がいました。今年度の総利用者数は34人。
現在もなお支援を続けている利用者は、退所者も含めて約半数の16人に上ります。年齢・稼働能力・生活能力は様々でしたが、ほとんどの入居者が、生活保護受給を経験してはいるが、中には受給できるのに受けていない人、精神障害があると思われるのにきちんと受診したことがない人もいました。
なぜ再び生活困窮に陥ったのかを本人とともに探り出し、これから自立して安定した生活ができるよう福祉事務所や自立支援センター、チャレンジネットなどと連携し、支援方法の改善を提案してきました。
途中で失跡した人もいました。なかなか働くところまでいきつけない人々も少なからずいましたが、さまざまな事情を抱える不安定居住者、野宿者だからこそ、個別的包括的な支援の必要性を感じさせられたケースがほとんどでした。

こうした人たちこそ行政が、法律制度に基づき支援することが求められるのに、現実には、正にそうした人々を個別包括的に支援する仕組みがない、制度の谷間にあることを実感させられた1年半でした。
生活困窮者支援法もでき、相談窓口も各市町村に開設されましたが、現実には機能しているとはまだまだ言い難い現実があります。
市町村に個別的包括的援助ができる専門職が少ないこと、相談窓口の開設だけではなく、地域でそうした人々に手を差し伸べていく地域に根差したきめ細かい取り組みが求められます。
この「ときわハウス」の取り組み報告をこうした形でまとめることにより、不安定居住者の個別的包括的支援の必要性を受け止め、それぞれの地域で生かして頂ければと切に願う次第です。

最後にこの1年半、直接支援に関わって頂いたスタッフの方々の労苦に心からお礼を申し上げたいと思います。

生活困窮者へのパーソナルサポート付ステップアップハウス事業 報告書

平成26年度独立行政法人 福祉医療機構 社会福祉振興助成事業により実施した「生活困窮者へのパーソナルサポート付ステップアップハウス事業」報告書を掲載いたします。

◆内容

  • 巻頭言:ステップアップときわハウスの運営
  • Ⅰ.運営と連携
  • Ⅱ.成果報告
  • Ⅲ.ときわハウスのソーシャルワーク
  • Ⅳ.インタビュー
  • Ⅴ.心強い仲間たち

PDFファイルはこちらからダウンロードしてご覧いただけます

◆ときわハウスについてのお問合せ

  • ホームレス資料センター
  • 電話番号:03-6905-8656

◆カンパのお願い

  • ときわハウスは、光熱水費や食材などの財源が不足しています。
  • ぜひカンパのご協力をお願いいたします。
  • 宛先:郵便振替 0018-8-710777 特定非営利活動法人ホームレス資料センター
    *振替用紙に「ときわハウスへカンパ」と明記ください。

ステップアップときわハウスの運営について

ホームレス資料センターは、平成23年の設立以来、調査研究が主な事業でしたが、平成16年から5年間実施された都区による「地域生活移行支援事業」で、当事者の方がアパートに移行して生き生きと自分らしく暮らされるのを目の当たりにしていたので、当事者の方とともに創意工夫し行動する事業も実施したいと願っていました。

独立行政法人福祉医療機構の助成金をいただき、TENOHASIをはじめ東京プロジェクトなど様々な団体のご協力を得て、ときわハウスを運営できていることをとても嬉しく思っています。

「ステップアップ」とは、家のない状態から、地域での安定した生活に一歩一歩近づいていくことを指します。

ときわハウスに入居なさった方に、パーソナルサポーターが次の目標設定の相談にのっています。パーソナルサポーターとは、平成23年から内閣府において実施された「パーソナルサポート事業」の個別的・総合的・継続的な相談にのる相談者のことです。

困難を抱えている方の話を傾聴し、解決に向かってともに「プラン」を作成し、社会資源につないだり、援護機関に同行したりして継続的に、困難が複数あっても総合的に、その方と信頼関係を築いてサポートしていく人のことです。

開設以来、多数の方がときわハウスを通過していかれました。一方で、当初から住んでいる方もいらっしゃいます。

約4. 5畳の鍵のかかる個室と共用のリビング・ダイニング、シャワーという設備なのですが、共用部分があるからというのではなく、食事はいつもいっしょにするなど、入居されている方たちのお互いの交流も図っています。

入居の方たちも、静かにゆったり暮らしておられます。1週間で黙って出て行かれた方もいらっしゃるのですが、また、どこかでお会いできることでしょう。住む場所は変わってもときわに顔を出してくださる方もいらっしゃるし、サポーターが、移転先に訪問したり面会に行ったりして関係が継続している方のほうが多いです。

家のなかった方が地域に参入して安定した暮らしを営んでいくには、まだまだ地域にも変わってもらわなければならないし、社会資源も十分ではありません。そんな状況でも、ときわハウスには実にたくさんの方が関わって支えてくださっています。

私たちは、地域のネットワークの構築にも努めています。さらに、家を失っている方に、ともに将来の展望を模索することもなく、ただ、入居させているだけというシェルターも多く存在する中で、ときわハウスは新しい支援方法を確立しようとしているのです。

ときわハウスにいらした方が、自分らしくその後の人生を歩んでいかれるよう、地道でしっかり根を張った活動を続けていくつもりです。

最後になりましたが、ときわハウスを支えてくださるたくさんの方に心よりお礼を申し上げます。

生活困窮者へのパーソナル・サポート付ステップアップハウス事業

平成27年度下半期に、「生活困窮者へのパーソナル・サポート付ステップアップハウス事業」の助成金を「独立行政法人福祉医療機構」から得て、池袋駅前にシェルター(「ときわハウス」)を開設することができました。
池袋で長年活動している「TENOHASI」にたいへん協力いただいています。(「ともに安心の場所をつくる」-ときわハウス報告書)
約4.5畳の個室であることがシェルターとしては画期的です(5室)。
利用者がシェルターを経てさらに安定的な場所に移っていかれるよう支援しています。
「パーソナルサポート」は、「ホームレス地域生活移行支援事業」の生活サポートの業務を踏襲しています。

池袋では、TENOHASIが毎週欠かさず夜回りをしておられ、路上で夜を過ごさなければならない方に多数出会います。
ネットカフェなどで暮らしておられる方も多いと推察されます。
ホームレス状態を解消するには、生活保護、自立支援センター、東京チャレンジネットなどを利用するのですが、地元の福祉事務所に生活保護申請すれば、ときわハウスの入居者も含めて、地区内の大型の無料低額宿泊所に入所するよう指示されます。
これを回避するため、ときわハウスでは、遠隔地の個室の宿泊所に行ってもらっています。
障がいなどのために劣悪な宿泊所に行くことができず路上生活を続けておられる方には、世界の医療団・べてぶくろ・訪問看護ステーションKAZOCが障がい者の施策を駆使してグループホームやアパート入居をサポートし、訪問看護や介護、居場所を運営して地域での生活を支えておられます。

ときわハウスは、建物が共同ダイニングであるため、共同居住の様相が濃くなり、入居者どうおしの交流も深まりお互いの今後について話し合ったりなさり、ホームレス状態を経験なさった方々にとってまさに「安心できる」場所になっているのではないかと思います。

今後は障がいを持たないホームレスの方も宿泊所を経ずに地域生活が開始できる道筋をつけたいものです。